【イベント開催報告】「震災と女性:国際基準はどこに?~被災地から見えてきたこと~」

2012/7/06

ジェンダーの根幹問題が浮かび上がったサイドイベント

2012年7月4日、ジェンダー・アクション・プラットフォーム (GAP) と、国際協力NGO・オックスファム・ジャパンは、世界防災閣僚会議in東北のサイドイベントとして、「震災と女性:国際基準はどこに?~被災地から見えてきたこと~」を開催しました。「妊産婦の保護と支援」「震災対応における世帯主中心制度の壁」をメインテーマとして、発災直後から現場で支援にあたってきた実務家・専門家に登壇していただきました。 

福島県助産師会石田登喜子氏は、「避難場所を求め、県内・県外を転々と移動した妊婦や母子がたくさんいた。分娩できる場所を求めて出産難民になった人もいた」と報告。平時から、出産直後の母親にはケアが不十分で、育児へのとまどい、乳房トラブル、放射線に対する不安など様々な悩みを抱え、孤立している状況があることがわかったと述べました。そこで、退院直後の母親の支援体制と0歳児の母児が集える場所を作る必要があると提言しました。 

産婦人科医の吉田穂波氏は、「国際的には、妊産婦は全員がハイリスク弱者であり、優先的に避難させるべきという考え方が浸透している。ガイドラインもあれば、電話一本で世界の災害現場に支援を供給する仕組みもある」と述べました。しかし、今回の震災ではそうした知見や情報が活かされなかったと指摘。妊産婦への影響調査と分析、緊急救援従事者に対する妊産婦対応の訓練、母子の所在を把握するためのオンライン連絡網の構築などを提案しました。

参画プランニングいわて平賀圭子氏は、震災直後から避難所をまわり、女性たちのニーズを聞きとり、支援物資を直接供給した経験を発表しました。「避難所の男性リーダーに女性のニーズを言うと、『わがままだ』『ぜいたくだ』と拒否されるケースが多くあった。一気に時代が逆戻りし、家父長制や男女の役割分担に支配されたような空気が漂っていた」と指摘しました。

しんぐるまざあず・ふぉーらむ赤石千衣子氏は、「義援金や生活再建支援金を世帯主が申請するというシステムは、女性にとって不利益に働くことが多い。阪神淡路大震災の時にも指摘され、裁判の事例もある。残念ながら16年後、また同じことが起きている」と述べました。被災者登録の含め、救済・支援システムを「世帯単位」から「個人単位」に移行させることが必要だと提言しました。 

モデレーターの目黒依子GAP代表は、「今回焦点を当てた2つのテーマはジェンダーの根幹問題。妊娠・出産が女性の役割として当然という意識が、妊産婦ケアの軽視につながってきたこと、平常時の社会の仕組みが『個人単位』ではなく、『世帯単位』であることによる不平等が、災害を通じて浮かび上がってきた」と指摘。前日、平野復興大臣が貴重報告の中で「緊急対応や復興支援で女性の視点が欠け、女性の苦労が長引いた」と述べたことを受け、「今日のパネリストからの提言から学び、防災と平常時の社会の仕組みにおける改革を進めていけるかどうかがカギだ」と結びました。 

玄葉外務大臣とクラークUNDP(国連開発計画)総裁が「震災と女性」のブースを訪問 

サイドイベントと並行させて、、ジェンダー・アクション・プラットフォーム (GAP) と、国際協力NGO・オックスファム・ジャパンは、「震災と女性」をテーマにブース出展も行いました。 

会議初日の2012年7月3日(火)、本会議の終了後、予定外に数あるブースの中からGAPとオックスファム・ジャパンの共同展示ブースがクラークUNDP(国連開発計画)総裁と玄葉外務大臣の訪問を受けました。 

本会議の開会式で平野復興大臣が、今回の東日本大震災の反省として、女性への支援が不充分であったと言及したことを受け、玄葉大臣がブースのテーマと展示に非常に関心をもたれた様子でした。 

大臣は、「平野さんもおっしゃっていたように、女性の視点は非常に大切だ」「こうした女性の視点などは、災害の前から検討する必要がある」と話しながら、ブースの展示物を視察しました。 

イベント報告に関するプレスリリースはこちら(PDF)
また、当イベントの様子は、オックスファム・ジャパンのスタッフブログからもご覧いただけます。


◆ 本件・インタビュー等に関するお問い合わせ ◆
ジェンダー・アクション・プラットフォーム
担当 大崎・斎藤   Email: gap.msaito@gmail.com