【世界の動き】ジェンダー:水と食糧安全保障

2012/4/12

世界の食糧供給が需要に追い付いていない-今、世界が直面する深刻な問題です。そしてそこには農作物の生産に重要な「水」の供給不足が大きな影響を及ぼしています。昔から農業の多くを担いそこに必要な水管理をも行ってきた女性たち。今後、農業・食糧生産と水資源の管理における彼女らの役割が食糧安全保障の大きなカギを握ります。

今年3月22日に迎えた「世界水の日」では、水と食糧安全保障が重要課題として取り上げられました。世界で10億人もの人々が栄養失調に苦しみ、毎日600万人もの子供飢餓により死亡している中で、将来、人口の増加傾向にともない更に20億人もの人々へ食糧を供給する必要があると予測されています。この危機的現状に対応し充分な食糧供給を確保するには、安全な水の確保が欠かせません。現在、世界の水のおよそ70%が農業用灌漑に使用されていることから、水の確保が食糧供給安全の確保や飢餓・栄養失調など食糧不足による病気・死亡の予防に直結することは明白です。しかしながら、気候変動など様々な理由によりその重要な水は不足状態にあり、世界で8億人もの人が供給を受けられずにいます。(「世界水の日」に対する国連事務総長のメッセージはこちらから)

今も昔も農作業の大半を女性が担っています。途上国の農作物のおよそ60%から80%が彼女らの手によるもので、世界の食糧生産のほぼ半数を占めます。現地の限られた水資源に関する豊富な知識を駆使し、生活や農作業に必要な水を集め、貯水する一連の水資源管理プロセスに彼女たちが重要な役割を果たしていることは疑う余地がありません。しかしながら、他の生産資源同様、女性の水へのアクセス、所有権は多くの場合制限されています。女性のニーズや知識が反映されず、男性のニーズのみに対応した不平等な水資源政策や灌漑計画が出来上がり、女性が本来持つ農業生産性を発揮できないという悪循環な環境が生まれています。

世界の人口増加に対応し、食糧供給の安全を確保・向上するためには、灌漑計画の策定、決定、実施プロセスなどあらゆる場面に女性の視点・声を反映し、男性・女性が平等な権利を持って農作業に取り組むことができる環境を確保することが必要です。つまり、ジェンダー格差を排除し、農業・水資源管理における女性の役割やニーズを認識し、政策・施策等あらゆる場面に確実に反映することが、健全で持続的なコミュニティ・社会を構築するのです。

参考:FAO (Women and water resources; Women and sustainable food security)