【世界と日本】 ジェンダーと先住民族

2011/08/08

1982年8月9日、先住民族の人権保護に関するワーキンググループ (UN Working Group on Indigenous Populations of the Subcommission on the Promotion of Protection of Human Rights) が開催されました。これを記念して、国連は毎年この日を国際先住民の日と定めています。

先住民族の伝統的社会では、女性・男性には土地や天然資源の同等なオーナーシップが存在しているかたわら、資源の減少など様々な理由により先住民族の女性はこうした伝統的な権利を失っています。例えば、森林に居住する先住民族の女性たちは森林と共存する知識を持っていますが、営利目当ての森林伐採などを決定する場では彼女たちの意見は反映されず、結果環境破壊が進み、女性たちが生活の糧にしていた資源が減少するケースが後を絶ちません。そして、先住民族の女性の総体的地位の低下により、彼女たちは性別だけでなく民族、言語、文化、宗教や社会的クラスによる複合的差別も経験しています。

こうした差別を明らかにし解決するため、1982年のワーキンググループ当初から2007年に国連総会で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されるまで20年以上に渡り、先住民族の女性たちは、教育機会や医療施設へのアクセスの欠如、貧困、性的虐待を含む暴力や人身売買など自分たちが直面する差別や問題を継続して世界に訴え、同宣言の策定プロセスに大きく働きかけてきました。また、1995年の世界女性会議でも先住民族の女性が持つ懸念をしっかりと表明しています。こうした啓発活動の結果、2005年の第49回国連女性の地位委員会(CSW)では初となる先住民族の女性に関する決議が採択されています。

また、こうしたプロセスには、日本からもアイヌ民族や沖縄琉球民族の人たちも参加しています。その結果、2003年のCEDAW委員会審議では日本のマイノリティ女性についての情報欠如が指摘され、マイノリティ女性の教育や雇用、健康や暴力被害などのデータを含む包括的な情報の提出が委員会から日本政府に要請されました(2003年審議結果参照)。更に、前回2009年に開かれた審議委員会は、2003年の審議結果で提出を要請した包括的情報が不十分であることに懸念を表明し、アイヌの人々、同和地区の人々、在日韓国・朝鮮人、沖縄女性を含むマイノリティ女性の包括的調査の実施を求め、日本にいるマイノリティ女性の状況に関する包括的情報の提出を再要請しています。さらに、マイノリティ女性に対する差別を撤廃するため、意思決定機関にマイノリティ女性の代表を加えることを勧告しています(2009年審議結果参照)。